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子育てをしながら働く女性は、賃金が大幅に減少し、男性は逆に増加することが明らかになっています。男女雇用機会均等法の施行から40年が経ち、共働きが増加する中で「母親ペナルティー」と「父親プレミアム」と呼ばれる現象が浮き彫りになっています。キャリアや収入の格差はなぜ生じ、どのように解消できるのでしょうか。(新西ましほ、黒田加那) ■がん終末期…遊びの中で3児に告げた病 医師が忘れられない40代の母親 「夫は今まで通りなのに、私だけまるで罰ゲームのようです。」
イメージ(本文とは関係ありません)
福岡市の29歳の女性会社員は、1歳の子どもを育てながら涙を浮かべました。新卒で入社し、主に営業を担当していましたが、現在は上司に勧められて“子育てしやすい”管理部門で短時間勤務をしています。女性社員が多く、子どもの急な病気でも休みやすいものの、能力や実績を生かせていないと感じています。
同じ会社の夫は、男性中心の部署で残業が多いです。早く帰宅しようとすると「妻は時短勤務だから」と言われたこともあり、最近では新規プロジェクトを担い、出張や休日出勤も増えました。育児や家事は自分一人で行う「ワンオペ」状態で、限界を迎えたときに夫の上司に肩をたたかれ、「今がキャリアの重要な時期だから耐えてくれ」と言われました。
出産後、彼女の年収は200万円近く減少しました。それ以上に、「母親の存在が許される」部署しか選べず、キャリアの展望が持てなくなったことが辛いのです。
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子育てが働く女性に与えるペナルティーの背景を探るため、東京大学の山口慎太郎教授(労働経済学)らの研究グループは、国内の大手製造会社で約4千人の社員の人事データを分析しました。子どもの誕生後10年間を比較したところ、女性は育児休業や時短勤務で労働時間が減少し、賃金は46%下落しました。一方、男性の労働時間は変わらず、賃金は8%上昇していました。
注目すべきは、女性がフルタイム勤務に戻った後も賃金格差が解消しないことです。役職手当の差が年々拡大し、15年後には格差の最大の要因となっています。管理職でない一般社員の場合、労働時間が長いほど人事評価が高くなる傾向もあり、山口教授は「子育て期の働き方がその後の昇進機会を大きく制限している」と指摘しています。男女間の格差を解消するためには「労働時間にとらわれず、優秀な人材が昇進できる制度が必要」と提案しています。
残業や有休を評価項目に 女性管理職を急増させた企業の取り組み
生産性重視の評価制度を導入し、女性管理職を急増させた企業があります。宮崎県えびの市の電子部品製造会社「えびの電子工業」です。この企業は、就職説明会に誰も集まらず、社員登用しようとしたパートの女性からも「割に合わない」と断られたことがきっかけで、危機感を覚えた社長が、19年度に「きちんと休んで成果を出した人」を高く評価する仕組みに切り替えました。
残業や有給休暇の状況を評価項目に加え、1人が複数の業務をこなす「多能工化」を進めることで、休んでもカバーし合えるようにしました。その結果、社員の生産性が向上し、導入から3年で有給取得率100%を達成しました。昇進を「負担が大きい」「家庭と両立できない」とためらっていた人の意識も変わり始めました。女性管理職の比率は19年度の11.4%から24年度には32.5%に上昇しました。
入社当初は子育てに追われ、1日約5時間のパート勤務だった松岡みどりさん(49)は、3年前に総務部門の管理職になりました。「生産性が評価される仕組みが当たり前になれば、育児中の女性だけでなく、男性も働きやすくなる」と話しています。
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